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「ベーシック圏論」に関するメモ その2

16ページ

群の圏

群も圏になる
整数の群 <\mathbb{Z}, +>を例として考える
対象: \mathbb{Z}
射: a \in \mathbb{Z}
合成: a bの足し算 a + b a,b \in \mathbb{Z}
恒等射:群における単位元(今回の場合は0)

圏の結合法則が満たされるのは群の結合法則から明らか(単位法則も同様)
また、群には逆元が存在し、整数の群の場合は以下を満たす( b aの逆元とする)
 a + b = b + a = 0(a,b \in \mathbb{Z})
これは圏における逆射の定義そのものである(逆元との合成が恒等射になっているため)
よって群の圏は逆射を持つ圏となる

余談
整数は何かを何かに変換するものではないので、射が整数 a \in \mathbb{Z}と聞いて最初はよく分からなかった
でもこの射 aは「整数 aを足す」という作用を表していると考えると少し納得した

18ページ

モノイドの圏

モノイドも圏になる
ここでは文字列の連結のモノイド <\{a-z\}^{*}, .>を考える
対象: \{a-z\}^{*}
射:文字列 S \in \{a-z\}^{*}
合成: T \circ S = ST(文字列Sの後ろにTを連結する)

モノイドの定義から、圏の結合法則と単位法則が成り立つことは明らか
ただし、モノイドは逆元が無いので逆射は常に存在するとは限らない

(文字列の例がわかりにくかったら行列の積を例に出すと分かりやすいと思う)

前順序の圏

前順序も圏になる
例えば集合の包含関係 < S, \subset >を考える( Sはべき集合)
対象: A \in S
射: A \subset B(A, B \in S)
合成: f: A \subset B, g: B \subset Cのとき、 g \circ f: A \subset C
前順序の推移律よりこのような合成は存在する

恒等射: A \subset A
これは前順序の反射律そのもの

以上より集合の包含関係は圏になる

射というと単語の響きから写像っぽいものだけを連想してしまいがちだが、16~18ページの例は射がそれだけでないことを気づかせてくれた

19ページ

双対圏

双対圏の定義だけを見ても「ふーん?」という感じだが、これを実際の圏で確かめてみると面白そう
例えば「線形空間の双対空間と Vect_{k}における双対圏が一致する」らしい
(双対空間を復習したら証明する)